2012年12月2日日曜日

評判悪い大阪国税局、今年はさらに対応悪化も

2012年11月27日

 12月の税務年度末に向け、関西では「大阪国税局の税務調査が、来年一段とひどくなる」(製造業関係者)と懸念する声が広がっている。大阪から本社流出が続き、大阪国税局管内で法人所得税を納付する企業が減少、存在意義をかけ税務調査が厳しくなってきた。

「大阪国税局が嫌いだから本店を移したい」

 今年10月に新日鉄住金が誕生したことで旧住友金属工業の本社が消失、また一つ大阪から有名企業がなくなり、シャープ、パナソニック、関西電力など名だたる企業が赤字で税収の大幅減少も見込まれている。「大阪国税局の調査姿勢は関西経済の地盤沈下に拍車をかける遠因と言われてきた」(財界関係者)だけに、2013年の税務調査姿勢が懸念されている。

 「大阪国税局の税務調査の態度がひどく、それが理由で本店登記を移したいと思った」。

 あるメーカー関係者はこう話す。日本の税法解釈はグレーゾーンが多く、追徴課税を受けた企業が「見解に相違があったが、応じた」とコメントすることが少なくないが、この企業は「もめたくないので追徴に応じたのにマスコミにリークされた」と憤る。

 別のサービス業の場合は負い目に付け込まれた。「うちの税務処理そのものが正しくなくて、徹底的な調査を受けたが、『不正の一部を海外がからむ取引に付け替えてくれ』と国税局職員に依頼された」という。

 海外がからむ「移転価格税制」の問題では、大阪国税局に巨額の追徴を受けた武田薬品工業やカプコンが異議を申し立て、税が還付されたことが記憶に新しい。不正内容の付け替えを税当局が依頼する背景には、海外案件での不正を暴くことが、各国税局の評価対象になっているからなのかもしれない。

 大阪国税局職員の態度が悪いことが広く知られたのは、海運大手、川崎汽船(本店・神戸市)に対する問題だった。

恫喝、そして誘導

 同社は、2009年までに約64億円の申告漏れを指摘され重加算税など約19億円を追徴課税されたが、その税務調査が「威圧的、誘導的だった」ことが、2011年12月の大阪国税不服審判所の判断で明らかになった。そして、所得隠しと判断された約16億円分が取り消された。

 これも、海外がからむ取引だった。同社の海外子会社が船舶を購入した際、「鋼材価格が高騰したため、上昇分の約16億円を上乗せして再契約した」と主張したが、国税局側は「再契約自体が虚偽」とし、所得を圧縮するために経費を水増しした所得隠しと判断した。

 国税職員が同社社員から聞き取りを行った際、「威圧的に言われ、国税局の主張に沿う内容の確認書に押印させられた」「『そのまま書いて』と職員が作った文に署名するよう誘導された」という。

 審判所は、「威圧、誘導的な手法に訴えたとうかがえる」と認定する一方、「再契約は事実」として同社の主張を認めた。「大阪国税局がやりそうなこと」と、マスコミにリークされたことを憤るメーカーの関係者はいう。

 外資メーカーの税務担当者も大阪国税局職員に恫喝されたと話す。この企業の場合、税務調査された伝票の一部で処理の間違いを指摘され、「『その伝票が属しているグループの100枚すべてが間違っていると認めろ』と言われた」という。「『100枚すべてを調べなおし、正しく処理し、申告しなおします』と言うと、国税職員はぶち切れ、『なら、あと半年居座って調査してやる』と怒鳴った」と話す。

 大阪国税局職員の評判には驚くばかり。関西経済が冷え込む中、来年の税務調査の態度は心配される一方である。

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