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2012年12月18日火曜日

調査の透明性と予見可能性を高める 民主党政権で国税通則法を大幅改正 来年1月施行【税務】

2012.12.18 

 税務調査の手続きなどを定め、「税法の一般法」とも呼ばれる国税通則法が11年11月、1962年の制定以来初めて大幅改正さ れ、来年1月に完全施行される。「税務調査の手続きの法整備が遅れている」と日本弁護士連合会などから指摘されていた中、政権が「納税者権利憲章の制定」 をマニフェストに掲げた民主党に交代したことが同法改正の大きなきっかけとなった。税務調査手続きの透明性や納税者の予見可能性を高めることが目的の今回 の改正だが、国税職員からは「調査件数は相当減ることになる」など改正の負の影響を危惧する声も聞かれる。

「納税者の権利を明確にするために『納税者権利憲章』を制定します」---。09年8月の衆院選に向けて民主党が作った「民主党政策集 INDEX2009」の税制の項目に、政府税調の設置、給付付き税額控除制度の導入、道路特定財源の一般財源化などとともに「納税者権利憲章」の制定の文 字が並んでいた。納税者の権利を守るための具体的な改革として、更正(事後的な納税額の増額、減額)の期間制限が国税庁と納税者とで差があることを見直す としている。

 民主党が政権を取った後の同年12月22日に閣議決定された「10年度税制改正大綱」にも「納税者の税制上の権利を明確にし、税制への信頼確保に資するものとして『納税者権利憲章(仮称)』を早急に制定する」と記された。

 さらに翌10年12月16日に閣議決定された「11年度税制改正大綱」になると、憲章策定とともに税務調査手続きの明確化や処分の理由説明の実施 など、今回の国税通則法改正につながる内容が納税環境整備の項目内に併記されるなど、納税者権利憲章制定と国税通則法の改正はセットで考えられるように なった。

 しかし、ある国税職員が「憲章という屋根の下で始まったが、その屋根はなくなってしまった」と話すように、憲章策定については野党・自民党の反対もあって結局見送られることになり、国税通則法改正だけが結果的に残ることになった。

 

 「納税者権利憲章」制定は見送り


国税通則法改正直前の11年10月11日の税制調査会の議事録を見ると、中野寛成・民主党税調会長代行が「更正の請求期間の延長や理由付記など、 納税者の権利を具現化する事項を早期に実施することによって、納税環境整備は相当前進する。言わば実が取れるとの判断に立って、憲章については断腸の思い ではあるが、今回は見送ることとした」と述べている。

 政権発足時の民主党の思惑とはずれが生じたものの、「権利憲章だけ制定しても絵に描いた餅になる。そういう意味では確かに実を取ったといえると思 う」と財務省主税局の担当者が評価する国税通則法改正。実際の法改正で変わった主な点は▽税務調査手続きの明確化▽更正の請求期間の延長▽処分の理由説明 ---などだが、現場の国税職員にとっては事務作業量増加を強いる「厄介者」という側面があることは否定できない。

 税務調査手続きについては、税務調査の事前通知と税務調査の終了の際の手続きが法制化された。現場の裁量に委ねられている部分があったうえに、こ れまでは税理士のみに伝えればよかったのが、調査対象本人にも伝えなければならなくなったため、手間は増えることになる。さらに、調査開始日時、調査開始 場所などだけではなく、調査の目的、調査対象税目、調査対象となる期間、調査対象となる帳簿書類など通知する内容についても細かく定められたのも特徴の一 つだ。

 調査終了の手続きも整備された。これまでは調査の結果、問題点が全くない場合は「調査結果についてのお知らせ」と題する書面を送付していたが、 「実際には調査に入って何の指導事項もないことは少なく、この書面を送付することはまれだった」(国税庁課税総括課)。しかし、今後は指導事項の有無に関 わらず、税目ごと、期間ごとに「更正決定等をすべきと認められない旨」を記した書面を納税者に交付しなければならなくなる。

 一方、調査の結果、何らかの問題点があった場合は、調査結果の内容を説明することが法定化され、さらに修正申告などを勧奨する場合は「修正申告を 出した場合、不服申し立てをすることはできないが、更正の請求をすることはできる」ことを説明するとともに、そのことを記載した書面を交付しなければなら ないと定められた。

 このほか、納税者にとって不利益な処分についてはすべて理由を説明しなければならなくなる。

 一連の改正について、国税庁課税総括課は「慣れ親しんだやり方ではないのに加えて、法律で定められるということで『従来以上に厳密にやらなければ いけない』という精神的な負担は大きくなるかもしれない。ただ、これまでやってきたことが極端に大きく変わるわけではないと思う」と話す。

 国税庁は今年8~9月に全国約5万6000人の職員が参加する研修を実施したほか、10月からは事前通知や修正申告勧奨時の書面交付といった新手 続きを先行実施している。少しでも早く新業務に慣れさせるのが狙いだが、東京国税局幹部は「法人、個人、大企業、中小企業など何を担当している部署かに よって異なるだろうが、概ね調査件数は2~3割は減ってしまうのではないか。慣れるまでにはしばらくの時間はかかるだろう」と顔をしかめる。

 民主党のマニフェストに端を発した国税通則法の大幅改正。中野氏は、納税者権利憲章の見送りについて述べた後、引き続き納税者の利益の保護と税務行政の適正かつ円滑な運営を確保する観点から、納税環境整備に向け検討を要請した。

 しかし、民主党政権がぐらつく中、「それらの先行きは不透明で、今後どうなるかは分からない」(財務省主税局)と税務当局は当惑気味。ある国税職員は「民主党のおかげで、税務調査の現場の困惑はしばらく続くということだけは明らか」とぼやく。

2012年12月2日日曜日

評判悪い大阪国税局、今年はさらに対応悪化も

2012年11月27日

 12月の税務年度末に向け、関西では「大阪国税局の税務調査が、来年一段とひどくなる」(製造業関係者)と懸念する声が広がっている。大阪から本社流出が続き、大阪国税局管内で法人所得税を納付する企業が減少、存在意義をかけ税務調査が厳しくなってきた。

「大阪国税局が嫌いだから本店を移したい」

 今年10月に新日鉄住金が誕生したことで旧住友金属工業の本社が消失、また一つ大阪から有名企業がなくなり、シャープ、パナソニック、関西電力など名だたる企業が赤字で税収の大幅減少も見込まれている。「大阪国税局の調査姿勢は関西経済の地盤沈下に拍車をかける遠因と言われてきた」(財界関係者)だけに、2013年の税務調査姿勢が懸念されている。

 「大阪国税局の税務調査の態度がひどく、それが理由で本店登記を移したいと思った」。

 あるメーカー関係者はこう話す。日本の税法解釈はグレーゾーンが多く、追徴課税を受けた企業が「見解に相違があったが、応じた」とコメントすることが少なくないが、この企業は「もめたくないので追徴に応じたのにマスコミにリークされた」と憤る。

 別のサービス業の場合は負い目に付け込まれた。「うちの税務処理そのものが正しくなくて、徹底的な調査を受けたが、『不正の一部を海外がからむ取引に付け替えてくれ』と国税局職員に依頼された」という。

 海外がからむ「移転価格税制」の問題では、大阪国税局に巨額の追徴を受けた武田薬品工業やカプコンが異議を申し立て、税が還付されたことが記憶に新しい。不正内容の付け替えを税当局が依頼する背景には、海外案件での不正を暴くことが、各国税局の評価対象になっているからなのかもしれない。

 大阪国税局職員の態度が悪いことが広く知られたのは、海運大手、川崎汽船(本店・神戸市)に対する問題だった。

恫喝、そして誘導

 同社は、2009年までに約64億円の申告漏れを指摘され重加算税など約19億円を追徴課税されたが、その税務調査が「威圧的、誘導的だった」ことが、2011年12月の大阪国税不服審判所の判断で明らかになった。そして、所得隠しと判断された約16億円分が取り消された。

 これも、海外がからむ取引だった。同社の海外子会社が船舶を購入した際、「鋼材価格が高騰したため、上昇分の約16億円を上乗せして再契約した」と主張したが、国税局側は「再契約自体が虚偽」とし、所得を圧縮するために経費を水増しした所得隠しと判断した。

 国税職員が同社社員から聞き取りを行った際、「威圧的に言われ、国税局の主張に沿う内容の確認書に押印させられた」「『そのまま書いて』と職員が作った文に署名するよう誘導された」という。

 審判所は、「威圧、誘導的な手法に訴えたとうかがえる」と認定する一方、「再契約は事実」として同社の主張を認めた。「大阪国税局がやりそうなこと」と、マスコミにリークされたことを憤るメーカーの関係者はいう。

 外資メーカーの税務担当者も大阪国税局職員に恫喝されたと話す。この企業の場合、税務調査された伝票の一部で処理の間違いを指摘され、「『その伝票が属しているグループの100枚すべてが間違っていると認めろ』と言われた」という。「『100枚すべてを調べなおし、正しく処理し、申告しなおします』と言うと、国税職員はぶち切れ、『なら、あと半年居座って調査してやる』と怒鳴った」と話す。

 大阪国税局職員の評判には驚くばかり。関西経済が冷え込む中、来年の税務調査の態度は心配される一方である。

2012年10月3日水曜日

退職金~異議結果~

臨時教員への退職手当、課税を撤回 兵庫の4税務署

 「退職」と「任用」を毎年繰り返す臨時教員への退職手当をめぐり、兵庫県の4税務署が県教委に、源泉所得税を納めるよう納税告知処分を行った問題で、4税務署は1日、処分をすべて取り消す異例の決定をした。同様の手当は兵庫のほか東京、愛知、大阪、岡山、福岡など33都府県にあり、県教委の異議に対する初判断が注目されていた。

 税務署側は6月、2007~10年度に県教委が臨時教員延べ1530人に支払った退職手当にかかる源泉所得税と、ペナルティーにあたる不納付加算税計1574万3千円を納めるよう告知。県教委は8月15日付で、4税務署に異議を申し立てた。

 臨時教員は地方公務員法上、1年を超えて任用できないため、同じ人を継続的に任用する場合、県教委は1日以上の「空白」を置いて再び任用する形を取ってきた。そのたびに月給の6割にあたる平均約15万円の退職手当を払っている。

 税務当局は、この退職は形だけで、実態は「継続雇用」にあたると判断。退職手当は所得税法上の優遇措置がある「退職所得」ではなく、課税対象の「給与所得」にあたるとみて、納税を求める処分を下した。

 今回の処分を取り消した異議決定書で税務署側は、再任用を希望する教員のすべてが必ずしも再任用されるわけではない▽取得されなかった年次有給休暇は、再任用時に繰り越されない▽再任用までの期間は兵庫県職員としての身分を有していない――などの事実関係を列挙。「単なる任用関係の延長ではなく、実質的にも別の新たな任用関係と認められる」とし、実態的にも「退職所得」に該当するとの初判断を示した。

 国税庁によると、昨年度に処理した異議申し立ては全国で4511件。このうち、原処分をすべて取り消したケースは、1%に満たない44件しかない。

 兵庫県教委教職員課の担当者は「継続任用とみるのは、法的に不可能とする主張が全面的に認められた」と安堵(あんど)した様子。一方、兵庫県の税務署を管轄する大阪国税局の国税広報広聴室は「個別案件に関するお答えは差し控える」としている。(日比野容子)



臨時教員退職金:非課税 兵庫4税務署、処分取り消し
毎日新聞 2012年10月02日 大阪朝刊

 任期1年で退職と再任用を繰り返す臨時教員への退職手当について、兵庫県内の4税務署が「給与所得にあたる」として、県教委に源泉所得税などの納付を求めた納税告知処分に対し、県教委が異議を申し立て、税務署側が1日、処分を取り消したことが、県教委への取材で分かった。臨時教員への退職金支給制度は大阪など34都府県にあり、課税の可否が注目されていた。

 地方公務員法により臨時教員は1年を超えて雇用できないため、県教委は任期1年で採用。再任用までに数日の空白期間を置き、任期が終わるごとに平均約15万円の退職手当を支払っている。手当分は制度ができた1962年以降、実質非課税の退職所得として処理してきた。

 しかし、07〜10年度に延べ1530人に支払った退職手当について、姫路税務署など4税務署が今年6月、「雇用の継続性が認められる」として給与所得と判断。源泉所得税と加算税計約1574万円の納付を求めた。県教委は「1年を超える継続雇用は法的に認められていない」などとして異議を申し立てていた。税務署側は審理の結果、希望者全員が再任用されるわけではないことなどから、再任用は新たな任用と判断した。【近藤諭、牧野宏美】



4税務署、処分取り消し

 兵庫県教委が臨時教員に支払った退職手当は課税対象の給与に当たるとして、県内の姫路、豊岡など4税務署が2007~10年度の延べ1530人分の源泉所得税など計約1570万円を支払うよう県教委に告知した処分について、税務署側が「手当は退職に伴う所得」として、1日付で処分を取り消していたことがわかった。

 県教委は「税の公平性に反する」と4税務署に異議を申し立てていた。

 県教委などによると、臨時教員は地方公務員法上、任期は1年以内だが、満了後に数日空けて、再び採用される場合が多いという。その際、一人当たり平均約15万円の退職手当が支払われており、課税対象の給与ではなく、退職所得とみなされて、非課税だった。

 この点に着目した姫路税務署などが県教委に対し、臨時教員の再任用は「実質的には継続雇用で、退職手当は給与」と判断。不納付加算税を加えて、6月に納税告知を通知した。県教委は全額を立て替え、納付したが、8月に異議を申し立てていた。

 4税務署がこの日出した異議決定書などによると、「再任用を希望する教員全員が再び採用されるわけではない」とする県教委の主張を受けるなどして、再任用は新たな任用関係として「継続雇用」を否定。手当は「退職所得」と認めた。

 県教委の退職手当制度は1962年から始まり、同様の制度は兵庫以外に33都府県にあるが、今回の納税告知処分は全国で初めてだった。
(2012年10月2日 読売新聞)



国税側が課税処分取り消し 臨時教員の退職手当めぐり 軍配は兵庫県教委に

 大阪国税局管内の税務署が兵庫県教委に対し、臨時教員の退職手当をめぐり、源泉所得税を納めていないとして納税告知処分を出したところ、県教委側が猛反発、税務署側は1日、県教委側の異議申し立てを認め、処分を取り消した。国税当局が課税処分を取り消すのは極めて異例。納税告知処分をめぐっては、他の33都府県の教育委員会も同様の手当を非課税扱いで支給しており、国税当局の判断が注目されていた。

 県教委によると、臨時教員の任期は原則1年間。地方公務員法上、1年を超えて任用できないためで、多くが満了後に1日以上空けて再任用されているという。満了時に平均約15万円支給されている退職手当は、所得税が控除される「退職所得」として実質的に非課税扱いだった。

 しかし、今年6月、兵庫県の姫路、豊岡、柏原、洲本の4税務署が、「臨時教員の多くは毎年、再任用を繰り返しており、実質的には継続雇用に当たる」と指摘。非課税扱いの退職所得ではなく、課税対象の「給与所得」に該当すると判断し、県教委が平成19~22年度に臨時教員延べ1530人に支払った退職手当について、源泉所得税と不納付加算税計約1575万円を支払うよう県教委に納税告知処分を行った。臨時教員の退職手当に対する納税告知処分は全国初という。

 これに対し県教委は、同様の手当がある大阪府教委など33都府県ではいずれも退職所得として扱われていることから、「税の公平性に反する。もし課税するなら全国一斉にすべきだ」と反論。処分を不服として、8月15日付で各税務署長に異議を申し立てていた。

 税務署側が1日、県教委に通知した異議決定書によると、臨時教員は再任用の際に有給休暇は繰り越されない上、任用満了後、再任用までの期間は県職員としての身分を有していないなどと指摘。「再任用は単純な任用の延長ではなく、実質的にも別の新たな任用と認められる」と、県教委側の主張を全面的に認めた上で、処分の全部を取り消した。

 県教委は「当初の主張が認められた」と歓迎の意向を示した。4税務署を管轄する大阪国税局は「個別の事案なのでコメントできない」としている。

 国税局や税務署による課税処分に不服がある場合は、処分の取り消しなどを求めて国税局か税務署に異議申し立てができ、国税局や税務署が内部で処分の妥当性を改めて判断する。

 国税庁によると、平成23年度の異議申し立ての処理件数は4511件で、そのうち申立人の主張が一部認められたのは331件。全部認められたのはわずか44件だけで、全体の1%にも満たない。

2012年9月23日日曜日

退職金~退職所得か給与所得(賞与)か~

臨時教員に課税論争 兵庫、再任用前に毎年退職手当

 「退職」と「任用」を毎年繰り返す臨時教員への退職手当をめぐり、兵庫県教委と税務署の間で、異例のバトルが起きている。「実質的には継続雇用であり、退職手当とはいえない」とする税務署に対し、「現行の法を順守した結果」と反論する県教委。同様の手当を持つ全国の教育委員会が、行方を見守る。

 「兵庫県教委は1574万3千円を支払え」

 臨時教員の源泉所得税を納めていないとして6月下旬、県教委に納税告知書が届いた。県内21税務署中、姫路など4署からで、ペナルティーにあたる不納付加算税約139万円を含む。

 滞納を指摘されたのは、2007~10年度に県教委が臨時教員に支払った退職手当にかかる源泉所得税で、延べ1530人分。

 臨時教員は地方公務員法上、1年を超えて任用できない。不安定な身分の固定化を避けるためとされる。だから同じ人を継続的に任用する場合、県教委は1日以上の「空白期間」を置き、再び任用する形を取る。そのたびに月給の6割にあたる1人平均約15万円の退職手当を払ってきた。

 今回、税務当局はこの手当に目を付けた。退職は形だけで、実態は継続的な任用だから、退職手当は所得税法上の優遇措置のある「退職所得」ではなく、課税対象の「給与所得」にあたる、とみたのだ。

 そもそも「退職所得」とは何か。兵庫県を管轄する大阪国税局は「長期間、勤務してきたことに対する報償たる性質をもち、多くの場合、老後の生活の糧(かて)」とする最高裁判例(1983年)を挙げる。

 一方の県教委は、臨時教員は1年を超えて任用できないと法で定められている以上、1年を超える実態があるからといって「継続任用」とみることは、法的に不可能との立場だ。

 県教委によると、今の制度は50年前の1962年にできた。この間、税務署側の指摘はなかった。同様の制度はほかに東京、愛知、大阪、岡山、福岡など33都府県にあるが、処分例はない。県教委は「税の公平性に反する」などと、4税務署に異議を申し立てた。

■人余り避ける「調整弁」

 臨時教員は、教員免許は持っているが採用試験に合格していない人らが登録し、教育委員会が雇う。正規教員の産休や育休、病欠時などに代役を務める。

 しかし近年、自治体の財政難などを背景に、本来の「臨時」という姿が変容しつつある。

 文部科学省によると、小中学校の常勤の臨時教員数は05年度に4万8339人だったが、11年度には6万2131人に。教員全体に占める割合も7.1%から8.9%に増えた。

 団塊の世代が大量退職する半面、少子化は進む一方だ。正規採用で穴埋めすると、将来的に教員余りが起きかねないとして、臨時教員が“調整弁”として雇われている現状がある。

 臨時教員は学級担任や部活動も持つなど、基本的な仕事内容は正規教員と同じだ。しかし兵庫県の場合、同じ40歳でも臨時は正規より月給が7万~10万円安いなどの格差があるという。

 兵庫県教委の担当者は「数学など教員数が少ない教科もあり、過疎地では特に、同じ人を継続的に雇用しなければ、法定の教員数を満たせない」と話す。

■「正規採用なら退職手当なんていらない」 保証なき臨時の悲哀

 「裏付け教員」

 臨時教員は以前、こんな呼ばれ方をしていた。正規教員が出産や病気で休んでも、職場復帰を保証する教員という意味だ。

 「おれってやっぱり、『裏』なんやなあ」

 兵庫県内の小学校に勤める男性教諭(46)がそう実感したのは、大学を卒業後、臨時教員として働き始めて3年半ほどたった時のことだ。年度末に校長から「4月以降も引き続き、いてほしい」と言われていた。しかし結局、臨時教員の口は来なかった。

 日雇いのガードマンをして暮らした。ある日、春まで担任していた子どもにばったり出くわした。

 「先生、その格好、どうしたん?」

 返す言葉がなかった。

 5年間で七つの小学校を転々とし、7回目の挑戦で採用試験に合格。正規教員になって17年たった今でも、臨時教員の時の気持ちは忘れられない。いつクビになるかわからず、人生設計も立てられない。

 「税務署の投じた『一石』が、せめて、臨時教員のあり方にメスを入れることにつながってほしい」

 税務署の処分にも憤りを感じる。「喜んでクビになり、喜んで退職手当をもらう臨時教員などいない。正規教員として雇ってくれれば、そもそも退職手当なんていらないのです」(日比野容子)

2012年9月20日木曜日

改正国税通則法

税務調査、増す説明責任 追徴課税の理由も-改正国税通則法、来年1月完全施行
    2012/9/20 1:11

 税務調査の手続きを定めた改正国税通則法が来年1月に完全施行され、調査の事前通知や追徴課税の理由説明が原則義務化される。「突然調査に来られて困った」「十分な説明なく追徴課税を受けた」といった納税者の不満を受け、国税当局に一層の説明責任が課された形。国税庁は職員研修などで対応を急ぐが、現場には「調査件数が減る」などの懸念もある。

 国税通則法の大幅改正は1962年の制定以来初めて。ポイントの一つは税務調査前に調査の日時などを納税者に連絡する「事前通知」の原則義務化だ。

 これまでも8割以上の調査で事前通知をしていたが、通知するかしないかは現場の裁量に委ねられていた。調査を受けた経験がある都内の会社社長は「いきなり数人の税務職員が押しかけてきて驚いた」と振り返り、「仕事の調整のためにも、事前の連絡が増えるとありがたい」と話す。

 法改正により事前通知の内容も調査対象の税目や期間、帳簿まで広がった。ただ、証拠隠滅などが疑われる場合は、今後も事前通知無しで調査できるとされている。

 調査で申告漏れなどが発覚し追徴課税(更正処分)する際、原則として全ての納税者に課税理由を説明するよう義務付けたことも大きな改正点。従来は「追徴課税の件数が多く、事務作業が膨大になる」などとして説明を省くこともあり、弁護士などから「納税者にとって不利益な処分なのに、きちんと理由を示さないのはおかしい」と批判が出ていた。

 税務に詳しい弁護士は「法改正で国税側からの情報開示が広がり、課税に不服がある場合も反論しやすくなる」と歓迎。別の中小企業経営者は「これまでは渋々指摘に応じることもあったが、今後は納得するまで説明を求めたい」と話す。

 ある国税職員は「これまでは追徴課税の理由説明について現場に大きな裁量があり、多少根拠が弱くても説得して課税処分を行うケースもあった」と振り返る。

 国税庁は「改正法の下での業務に一日も早く慣れる必要がある」(同庁幹部)と、8~9月に全国約5万6千人の全職員が参加する研修を実施。10月から施行後と同様の業務を前倒しで始める方針だ。

 ただ、事前通知や課税理由の説明などで事務作業は増える見込みで、職員からは「調査件数を減らさざるを得ない」との声も。国税OBの税理士は「細かい事前通知は調査前に手の内を明かすようなもの。これまで通りに申告漏れや所得隠しを突き止められるのか」と懸念していた。

▼国税通則法 修正申告や課税処分など各税に共通する 事項を定め、「税法の一般法」とも呼ばれる。「税務調査の手続きの法整備が遅れている」という日本弁護士連合会などの声を受け、民主党政権下の2011年 11月に改正された。一部は既に施行され、事前通知などの規定は13年1月に施行される。
 強制調査権のある査察部の調査・処分の手続きは国税犯則取締法に別途定められている。

2012年9月9日日曜日

大阪酷税局

税務調査で「威圧と誘導」 川崎汽船の調査で、不服審判所認定

2012/9/7 23:02

海運大手の川崎汽船(本店・神戸市)に対する大阪国税局の追徴課税処分を取り消した大阪国税不服審判所が、国税局職員の税務調査に「威圧や誘導があった」と裁決で認定していたことが7日、分かった。

関係者によると、同社はパナマの子会社が船舶の建造を造船所と契約した後、鋼材価格が高騰したため再交渉して約16億円を上乗せすることで合意し、経費計上した。

大阪国税局は税務調査で、再交渉の合意の事実はなく、経費の水増しで所得隠しに当たると判断。2010年6月、この約16億円を含む約64億円の申告漏れを指摘したが、同社は処分を不服として審判所に審査請求した。

審判所は昨年12月の裁決で、調査に当たった国税職員が見立てに沿うような確認書を作成し、一部事実に反する内容の回答をさせたり、隣室の会議に支障が出るほどの怒鳴り声を発したりしたと認定。再交渉の合意は事実と認めて処分を取り消した。

大阪国税局は「個別事案はコメントできないが、納税者の主張を正確に把握し、適正な課税に努めたい」としている。



大阪国税局が「威圧・誘導」 不服審判所、川崎汽船の主張認める

2012.9.7 20:05

海運大手「川崎汽船」(神戸市)が大阪国税局から平成21年までに約64億円の申告漏れを指摘され重加算税など約19億円を追徴課税されていた問題で、大阪国税不服審判所が同国税局による税務調査の手法について「威圧・誘導的だった」と認定していたことが7日、分かった。審判所は昨年12月、同社の主張を認め、所得隠しと判断された約16億円分を取り消した。

関係者によると、海外子会社が船舶を購入した取引について、同社は「鋼材価格が高騰したため、上昇分の約16億円を上乗せして再契約した」と主張。一方、国税局側は「再契約自体が虚偽」と指摘し、所得を圧縮するために経費を水増しした所得隠しと判断した。

同社は不服として審判所に審査請求。国税職員が同社社員らから事実関係を聞き取った確認書を作る際に「威圧的に言われ、国税局の主張に沿う内容の確認書に押印した」「『そのまま書いて』と国税職員が作った文案のまま署名するよう誘導された」と主張した。

審判所は、国税局側の認識に沿うよう確認書を作った▽一部事実に反する回答をさせた▽隣室の会議に支障をきたすほどの怒声を発した-と指摘。「威圧・誘導的な手法に訴えたとうかがえる」と認定する一方、「再契約は事実」として同社の主張を認めた。

川崎汽船は「コメントできない」。同国税局は「税務調査では納税者の主張を正確に把握し、的確な事実認定に基づいて適正な課税に務めたい」としている。



大阪国税職員が威圧、誘導=川崎汽船の調査で-不服審判所が認定

大阪国税局が海運大手「川崎汽船」(東京都千代田区)に約16億円の所得隠しを指摘した税務調査で、大阪国税不服審判所が「威圧や誘導」などがあったと認定していたことが7日、分かった。
同国税局は2010年6月、同社に対し、09年3月期までの5年間で約64億円の申告漏れを指摘。このうち約16億円は、パナマにある子会社が意図的に経費を水増ししたと判断した。川崎汽船は指摘を不服として申告漏れ全額の取り消しを求め、同審判所に審査請求した。
審査の過程で、川崎汽船側は国税局職員が調査の際、怒鳴り声を上げたり、見立てに沿うよう同社従業員を誘導したりしたと主張。同審判所は昨年12月、これを認めた上で、「契約後に原材料費が高騰し、再契約した」とする同社の主張も認め、所得隠しとされた16億円分の処分を取り消し、重加算税約6億円が同社に還付された。(2012/09/07-16:41)



大阪国税が威圧調査 不服審「怒声、回答誘導」

大阪国税局が海運会社大手・川崎汽船(本店・神戸市)に約16億円の所得隠しを指摘したことについて、大阪国税不服審判所が全額を取り消した裁決で、「国税局職員が税務調査の際、従業員に対し、威圧・誘導的な手法に訴えた」と認定していたことがわかった。審判所が税務調査の不当性を認めるのは極めて異例という。

関係者によると、同国税局は2010年6月、同社に対し、09年3月期までの5年間で約64億円の申告漏れを指摘。うち16億円はパナマの子会社が経費を水増しするなどしており、悪質な所得隠しと判断した。同社は重加算税を含む約19億円を全額納付したが、処分を不服として、同審判所に審査請求した。

審査の中で、同社側は「国税局職員がどなったり、回答を誘導したりした」などと主張。同審判所は昨年12月の裁決でこれを認め、「怒声を発し、従業員に事実と反する回答をさせ、国税局側の認識に沿うような書面を作成した」などと認めた。また、所得隠しとされた16億円については「鋼材価格が高騰し、契約を見直していた」と同社側の主張を採用し、処分を取り消した。

同国税局は「個別事案はコメントできない。今後は納税者の主張を正確に把握し、適正な課税に努めたい」としている。

◆国税不服審判所 国税局や税務署による課税や差し押さえなどの処分に対し、納得できない納税者が処分の取り消しなどを求めた時、その妥当性を審理する国税庁の機関。審判官は双方の主張を聞くなど調査し、裁決する。東京の本部のほか、全国に12の支部と7支所が設けられている。
(2012年9月8日 読売新聞)



大阪国税局が威圧調査 不当性認め所得隠し指摘取り消し

2012年9月7日

大阪国税局が海運大手の川崎汽船(神戸市)に約16億円の所得隠しを指摘した税務調査で、大阪国税不服審判所が、国税職員の聞き取りに「威圧や誘導」があったと判断していたことがわかった。見立てに沿うよう同社従業員らに回答させた国税局の調査は根拠がないとして、約16億円全額を取り消し、確定した。国税局の調査の不当性が、国の機関である審判所から指摘されるのは極めて異例だ。

国税局は2010年6月、同社に対し、09年3月期までの5年間で約64億円の申告漏れを指摘した。このうち、パナマの子会社が日本の造船会社から船舶を買った際、「鋼材価格が高騰したため、契約を見直して上乗せした」として払った約16億円を、悪質な所得隠しと認定した。契約を見直した事実はなく、経費の水増しとの判断だった。

同社はこれを不服として審判所に審査請求。国税局の担当職員が川崎汽船や造船会社の従業員らを調べた際、「(従業員らと合意した事実関係を記す)確認書を作る時、威圧的に言われ、国税局の主張に沿う内容の確認書に押印した」「『そのまま書いて』と、国税職員が作った文案のまま確認書に署名するよう誘導された」「『この回答は違う』『この会社は法人の体をなしていない』と怒鳴られた」などと訴えた。