臨時教員に課税論争 兵庫、再任用前に毎年退職手当
「退職」と「任用」を毎年繰り返す臨時教員への退職手当をめぐり、兵庫県教委と税務署の間で、異例のバトルが起きている。「実質的には継続雇用であり、退職手当とはいえない」とする税務署に対し、「現行の法を順守した結果」と反論する県教委。同様の手当を持つ全国の教育委員会が、行方を見守る。
「兵庫県教委は1574万3千円を支払え」
臨時教員の源泉所得税を納めていないとして6月下旬、県教委に納税告知書が届いた。県内21税務署中、姫路など4署からで、ペナルティーにあたる不納付加算税約139万円を含む。
滞納を指摘されたのは、2007~10年度に県教委が臨時教員に支払った退職手当にかかる源泉所得税で、延べ1530人分。
臨時教員は地方公務員法上、1年を超えて任用できない。不安定な身分の固定化を避けるためとされる。だから同じ人を継続的に任用する場合、県教委は1日以上の「空白期間」を置き、再び任用する形を取る。そのたびに月給の6割にあたる1人平均約15万円の退職手当を払ってきた。
今回、税務当局はこの手当に目を付けた。退職は形だけで、実態は継続的な任用だから、退職手当は所得税法上の優遇措置のある「退職所得」ではなく、課税対象の「給与所得」にあたる、とみたのだ。
そもそも「退職所得」とは何か。兵庫県を管轄する大阪国税局は「長期間、勤務してきたことに対する報償たる性質をもち、多くの場合、老後の生活の糧(かて)」とする最高裁判例(1983年)を挙げる。
一方の県教委は、臨時教員は1年を超えて任用できないと法で定められている以上、1年を超える実態があるからといって「継続任用」とみることは、法的に不可能との立場だ。
県教委によると、今の制度は50年前の1962年にできた。この間、税務署側の指摘はなかった。同様の制度はほかに東京、愛知、大阪、岡山、福岡など33都府県にあるが、処分例はない。県教委は「税の公平性に反する」などと、4税務署に異議を申し立てた。
■人余り避ける「調整弁」
臨時教員は、教員免許は持っているが採用試験に合格していない人らが登録し、教育委員会が雇う。正規教員の産休や育休、病欠時などに代役を務める。
しかし近年、自治体の財政難などを背景に、本来の「臨時」という姿が変容しつつある。
文部科学省によると、小中学校の常勤の臨時教員数は05年度に4万8339人だったが、11年度には6万2131人に。教員全体に占める割合も7.1%から8.9%に増えた。
団塊の世代が大量退職する半面、少子化は進む一方だ。正規採用で穴埋めすると、将来的に教員余りが起きかねないとして、臨時教員が“調整弁”として雇われている現状がある。
臨時教員は学級担任や部活動も持つなど、基本的な仕事内容は正規教員と同じだ。しかし兵庫県の場合、同じ40歳でも臨時は正規より月給が7万~10万円安いなどの格差があるという。
兵庫県教委の担当者は「数学など教員数が少ない教科もあり、過疎地では特に、同じ人を継続的に雇用しなければ、法定の教員数を満たせない」と話す。
■「正規採用なら退職手当なんていらない」 保証なき臨時の悲哀
「裏付け教員」
臨時教員は以前、こんな呼ばれ方をしていた。正規教員が出産や病気で休んでも、職場復帰を保証する教員という意味だ。
「おれってやっぱり、『裏』なんやなあ」
兵庫県内の小学校に勤める男性教諭(46)がそう実感したのは、大学を卒業後、臨時教員として働き始めて3年半ほどたった時のことだ。年度末に校長から「4月以降も引き続き、いてほしい」と言われていた。しかし結局、臨時教員の口は来なかった。
日雇いのガードマンをして暮らした。ある日、春まで担任していた子どもにばったり出くわした。
「先生、その格好、どうしたん?」
返す言葉がなかった。
5年間で七つの小学校を転々とし、7回目の挑戦で採用試験に合格。正規教員になって17年たった今でも、臨時教員の時の気持ちは忘れられない。いつクビになるかわからず、人生設計も立てられない。
「税務署の投じた『一石』が、せめて、臨時教員のあり方にメスを入れることにつながってほしい」
税務署の処分にも憤りを感じる。「喜んでクビになり、喜んで退職手当をもらう臨時教員などいない。正規教員として雇ってくれれば、そもそも退職手当なんていらないのです」(日比野容子)
2012年9月23日日曜日
2012年9月20日木曜日
改正国税通則法
税務調査、増す説明責任 追徴課税の理由も-改正国税通則法、来年1月完全施行
2012/9/20 1:11
税務調査の手続きを定めた改正国税通則法が来年1月に完全施行され、調査の事前通知や追徴課税の理由説明が原則義務化される。「突然調査に来られて困った」「十分な説明なく追徴課税を受けた」といった納税者の不満を受け、国税当局に一層の説明責任が課された形。国税庁は職員研修などで対応を急ぐが、現場には「調査件数が減る」などの懸念もある。
国税通則法の大幅改正は1962年の制定以来初めて。ポイントの一つは税務調査前に調査の日時などを納税者に連絡する「事前通知」の原則義務化だ。
これまでも8割以上の調査で事前通知をしていたが、通知するかしないかは現場の裁量に委ねられていた。調査を受けた経験がある都内の会社社長は「いきなり数人の税務職員が押しかけてきて驚いた」と振り返り、「仕事の調整のためにも、事前の連絡が増えるとありがたい」と話す。
法改正により事前通知の内容も調査対象の税目や期間、帳簿まで広がった。ただ、証拠隠滅などが疑われる場合は、今後も事前通知無しで調査できるとされている。
調査で申告漏れなどが発覚し追徴課税(更正処分)する際、原則として全ての納税者に課税理由を説明するよう義務付けたことも大きな改正点。従来は「追徴課税の件数が多く、事務作業が膨大になる」などとして説明を省くこともあり、弁護士などから「納税者にとって不利益な処分なのに、きちんと理由を示さないのはおかしい」と批判が出ていた。
税務に詳しい弁護士は「法改正で国税側からの情報開示が広がり、課税に不服がある場合も反論しやすくなる」と歓迎。別の中小企業経営者は「これまでは渋々指摘に応じることもあったが、今後は納得するまで説明を求めたい」と話す。
ある国税職員は「これまでは追徴課税の理由説明について現場に大きな裁量があり、多少根拠が弱くても説得して課税処分を行うケースもあった」と振り返る。
国税庁は「改正法の下での業務に一日も早く慣れる必要がある」(同庁幹部)と、8~9月に全国約5万6千人の全職員が参加する研修を実施。10月から施行後と同様の業務を前倒しで始める方針だ。
ただ、事前通知や課税理由の説明などで事務作業は増える見込みで、職員からは「調査件数を減らさざるを得ない」との声も。国税OBの税理士は「細かい事前通知は調査前に手の内を明かすようなもの。これまで通りに申告漏れや所得隠しを突き止められるのか」と懸念していた。
2012/9/20 1:11
税務調査の手続きを定めた改正国税通則法が来年1月に完全施行され、調査の事前通知や追徴課税の理由説明が原則義務化される。「突然調査に来られて困った」「十分な説明なく追徴課税を受けた」といった納税者の不満を受け、国税当局に一層の説明責任が課された形。国税庁は職員研修などで対応を急ぐが、現場には「調査件数が減る」などの懸念もある。
国税通則法の大幅改正は1962年の制定以来初めて。ポイントの一つは税務調査前に調査の日時などを納税者に連絡する「事前通知」の原則義務化だ。
これまでも8割以上の調査で事前通知をしていたが、通知するかしないかは現場の裁量に委ねられていた。調査を受けた経験がある都内の会社社長は「いきなり数人の税務職員が押しかけてきて驚いた」と振り返り、「仕事の調整のためにも、事前の連絡が増えるとありがたい」と話す。
法改正により事前通知の内容も調査対象の税目や期間、帳簿まで広がった。ただ、証拠隠滅などが疑われる場合は、今後も事前通知無しで調査できるとされている。
調査で申告漏れなどが発覚し追徴課税(更正処分)する際、原則として全ての納税者に課税理由を説明するよう義務付けたことも大きな改正点。従来は「追徴課税の件数が多く、事務作業が膨大になる」などとして説明を省くこともあり、弁護士などから「納税者にとって不利益な処分なのに、きちんと理由を示さないのはおかしい」と批判が出ていた。
税務に詳しい弁護士は「法改正で国税側からの情報開示が広がり、課税に不服がある場合も反論しやすくなる」と歓迎。別の中小企業経営者は「これまでは渋々指摘に応じることもあったが、今後は納得するまで説明を求めたい」と話す。
ある国税職員は「これまでは追徴課税の理由説明について現場に大きな裁量があり、多少根拠が弱くても説得して課税処分を行うケースもあった」と振り返る。
国税庁は「改正法の下での業務に一日も早く慣れる必要がある」(同庁幹部)と、8~9月に全国約5万6千人の全職員が参加する研修を実施。10月から施行後と同様の業務を前倒しで始める方針だ。
ただ、事前通知や課税理由の説明などで事務作業は増える見込みで、職員からは「調査件数を減らさざるを得ない」との声も。国税OBの税理士は「細かい事前通知は調査前に手の内を明かすようなもの。これまで通りに申告漏れや所得隠しを突き止められるのか」と懸念していた。
▼国税通則法 修正申告や課税処分など各税に共通する
事項を定め、「税法の一般法」とも呼ばれる。「税務調査の手続きの法整備が遅れている」という日本弁護士連合会などの声を受け、民主党政権下の2011年
11月に改正された。一部は既に施行され、事前通知などの規定は13年1月に施行される。
強制調査権のある査察部の調査・処分の手続きは国税犯則取締法に別途定められている。
2012年9月9日日曜日
大阪酷税局
税務調査で「威圧と誘導」 川崎汽船の調査で、不服審判所認定
2012/9/7 23:02
海運大手の川崎汽船(本店・神戸市)に対する大阪国税局の追徴課税処分を取り消した大阪国税不服審判所が、国税局職員の税務調査に「威圧や誘導があった」と裁決で認定していたことが7日、分かった。
関係者によると、同社はパナマの子会社が船舶の建造を造船所と契約した後、鋼材価格が高騰したため再交渉して約16億円を上乗せすることで合意し、経費計上した。
大阪国税局は税務調査で、再交渉の合意の事実はなく、経費の水増しで所得隠しに当たると判断。2010年6月、この約16億円を含む約64億円の申告漏れを指摘したが、同社は処分を不服として審判所に審査請求した。
審判所は昨年12月の裁決で、調査に当たった国税職員が見立てに沿うような確認書を作成し、一部事実に反する内容の回答をさせたり、隣室の会議に支障が出るほどの怒鳴り声を発したりしたと認定。再交渉の合意は事実と認めて処分を取り消した。
大阪国税局は「個別事案はコメントできないが、納税者の主張を正確に把握し、適正な課税に努めたい」としている。
大阪国税局が「威圧・誘導」 不服審判所、川崎汽船の主張認める
2012.9.7 20:05
海運大手「川崎汽船」(神戸市)が大阪国税局から平成21年までに約64億円の申告漏れを指摘され重加算税など約19億円を追徴課税されていた問題で、大阪国税不服審判所が同国税局による税務調査の手法について「威圧・誘導的だった」と認定していたことが7日、分かった。審判所は昨年12月、同社の主張を認め、所得隠しと判断された約16億円分を取り消した。
関係者によると、海外子会社が船舶を購入した取引について、同社は「鋼材価格が高騰したため、上昇分の約16億円を上乗せして再契約した」と主張。一方、国税局側は「再契約自体が虚偽」と指摘し、所得を圧縮するために経費を水増しした所得隠しと判断した。
同社は不服として審判所に審査請求。国税職員が同社社員らから事実関係を聞き取った確認書を作る際に「威圧的に言われ、国税局の主張に沿う内容の確認書に押印した」「『そのまま書いて』と国税職員が作った文案のまま署名するよう誘導された」と主張した。
審判所は、国税局側の認識に沿うよう確認書を作った▽一部事実に反する回答をさせた▽隣室の会議に支障をきたすほどの怒声を発した-と指摘。「威圧・誘導的な手法に訴えたとうかがえる」と認定する一方、「再契約は事実」として同社の主張を認めた。
川崎汽船は「コメントできない」。同国税局は「税務調査では納税者の主張を正確に把握し、的確な事実認定に基づいて適正な課税に務めたい」としている。
大阪国税職員が威圧、誘導=川崎汽船の調査で-不服審判所が認定
大阪国税局が海運大手「川崎汽船」(東京都千代田区)に約16億円の所得隠しを指摘した税務調査で、大阪国税不服審判所が「威圧や誘導」などがあったと認定していたことが7日、分かった。
同国税局は2010年6月、同社に対し、09年3月期までの5年間で約64億円の申告漏れを指摘。このうち約16億円は、パナマにある子会社が意図的に経費を水増ししたと判断した。川崎汽船は指摘を不服として申告漏れ全額の取り消しを求め、同審判所に審査請求した。
審査の過程で、川崎汽船側は国税局職員が調査の際、怒鳴り声を上げたり、見立てに沿うよう同社従業員を誘導したりしたと主張。同審判所は昨年12月、これを認めた上で、「契約後に原材料費が高騰し、再契約した」とする同社の主張も認め、所得隠しとされた16億円分の処分を取り消し、重加算税約6億円が同社に還付された。(2012/09/07-16:41)
大阪国税が威圧調査 不服審「怒声、回答誘導」
大阪国税局が海運会社大手・川崎汽船(本店・神戸市)に約16億円の所得隠しを指摘したことについて、大阪国税不服審判所が全額を取り消した裁決で、「国税局職員が税務調査の際、従業員に対し、威圧・誘導的な手法に訴えた」と認定していたことがわかった。審判所が税務調査の不当性を認めるのは極めて異例という。
関係者によると、同国税局は2010年6月、同社に対し、09年3月期までの5年間で約64億円の申告漏れを指摘。うち16億円はパナマの子会社が経費を水増しするなどしており、悪質な所得隠しと判断した。同社は重加算税を含む約19億円を全額納付したが、処分を不服として、同審判所に審査請求した。
審査の中で、同社側は「国税局職員がどなったり、回答を誘導したりした」などと主張。同審判所は昨年12月の裁決でこれを認め、「怒声を発し、従業員に事実と反する回答をさせ、国税局側の認識に沿うような書面を作成した」などと認めた。また、所得隠しとされた16億円については「鋼材価格が高騰し、契約を見直していた」と同社側の主張を採用し、処分を取り消した。
同国税局は「個別事案はコメントできない。今後は納税者の主張を正確に把握し、適正な課税に努めたい」としている。
◆国税不服審判所 国税局や税務署による課税や差し押さえなどの処分に対し、納得できない納税者が処分の取り消しなどを求めた時、その妥当性を審理する国税庁の機関。審判官は双方の主張を聞くなど調査し、裁決する。東京の本部のほか、全国に12の支部と7支所が設けられている。
(2012年9月8日 読売新聞)
大阪国税局が威圧調査 不当性認め所得隠し指摘取り消し
2012年9月7日
大阪国税局が海運大手の川崎汽船(神戸市)に約16億円の所得隠しを指摘した税務調査で、大阪国税不服審判所が、国税職員の聞き取りに「威圧や誘導」があったと判断していたことがわかった。見立てに沿うよう同社従業員らに回答させた国税局の調査は根拠がないとして、約16億円全額を取り消し、確定した。国税局の調査の不当性が、国の機関である審判所から指摘されるのは極めて異例だ。
国税局は2010年6月、同社に対し、09年3月期までの5年間で約64億円の申告漏れを指摘した。このうち、パナマの子会社が日本の造船会社から船舶を買った際、「鋼材価格が高騰したため、契約を見直して上乗せした」として払った約16億円を、悪質な所得隠しと認定した。契約を見直した事実はなく、経費の水増しとの判断だった。
同社はこれを不服として審判所に審査請求。国税局の担当職員が川崎汽船や造船会社の従業員らを調べた際、「(従業員らと合意した事実関係を記す)確認書を作る時、威圧的に言われ、国税局の主張に沿う内容の確認書に押印した」「『そのまま書いて』と、国税職員が作った文案のまま確認書に署名するよう誘導された」「『この回答は違う』『この会社は法人の体をなしていない』と怒鳴られた」などと訴えた。
2012/9/7 23:02
海運大手の川崎汽船(本店・神戸市)に対する大阪国税局の追徴課税処分を取り消した大阪国税不服審判所が、国税局職員の税務調査に「威圧や誘導があった」と裁決で認定していたことが7日、分かった。
関係者によると、同社はパナマの子会社が船舶の建造を造船所と契約した後、鋼材価格が高騰したため再交渉して約16億円を上乗せすることで合意し、経費計上した。
大阪国税局は税務調査で、再交渉の合意の事実はなく、経費の水増しで所得隠しに当たると判断。2010年6月、この約16億円を含む約64億円の申告漏れを指摘したが、同社は処分を不服として審判所に審査請求した。
審判所は昨年12月の裁決で、調査に当たった国税職員が見立てに沿うような確認書を作成し、一部事実に反する内容の回答をさせたり、隣室の会議に支障が出るほどの怒鳴り声を発したりしたと認定。再交渉の合意は事実と認めて処分を取り消した。
大阪国税局は「個別事案はコメントできないが、納税者の主張を正確に把握し、適正な課税に努めたい」としている。
大阪国税局が「威圧・誘導」 不服審判所、川崎汽船の主張認める
2012.9.7 20:05
海運大手「川崎汽船」(神戸市)が大阪国税局から平成21年までに約64億円の申告漏れを指摘され重加算税など約19億円を追徴課税されていた問題で、大阪国税不服審判所が同国税局による税務調査の手法について「威圧・誘導的だった」と認定していたことが7日、分かった。審判所は昨年12月、同社の主張を認め、所得隠しと判断された約16億円分を取り消した。
関係者によると、海外子会社が船舶を購入した取引について、同社は「鋼材価格が高騰したため、上昇分の約16億円を上乗せして再契約した」と主張。一方、国税局側は「再契約自体が虚偽」と指摘し、所得を圧縮するために経費を水増しした所得隠しと判断した。
同社は不服として審判所に審査請求。国税職員が同社社員らから事実関係を聞き取った確認書を作る際に「威圧的に言われ、国税局の主張に沿う内容の確認書に押印した」「『そのまま書いて』と国税職員が作った文案のまま署名するよう誘導された」と主張した。
審判所は、国税局側の認識に沿うよう確認書を作った▽一部事実に反する回答をさせた▽隣室の会議に支障をきたすほどの怒声を発した-と指摘。「威圧・誘導的な手法に訴えたとうかがえる」と認定する一方、「再契約は事実」として同社の主張を認めた。
川崎汽船は「コメントできない」。同国税局は「税務調査では納税者の主張を正確に把握し、的確な事実認定に基づいて適正な課税に務めたい」としている。
大阪国税職員が威圧、誘導=川崎汽船の調査で-不服審判所が認定
大阪国税局が海運大手「川崎汽船」(東京都千代田区)に約16億円の所得隠しを指摘した税務調査で、大阪国税不服審判所が「威圧や誘導」などがあったと認定していたことが7日、分かった。
同国税局は2010年6月、同社に対し、09年3月期までの5年間で約64億円の申告漏れを指摘。このうち約16億円は、パナマにある子会社が意図的に経費を水増ししたと判断した。川崎汽船は指摘を不服として申告漏れ全額の取り消しを求め、同審判所に審査請求した。
審査の過程で、川崎汽船側は国税局職員が調査の際、怒鳴り声を上げたり、見立てに沿うよう同社従業員を誘導したりしたと主張。同審判所は昨年12月、これを認めた上で、「契約後に原材料費が高騰し、再契約した」とする同社の主張も認め、所得隠しとされた16億円分の処分を取り消し、重加算税約6億円が同社に還付された。(2012/09/07-16:41)
大阪国税が威圧調査 不服審「怒声、回答誘導」
大阪国税局が海運会社大手・川崎汽船(本店・神戸市)に約16億円の所得隠しを指摘したことについて、大阪国税不服審判所が全額を取り消した裁決で、「国税局職員が税務調査の際、従業員に対し、威圧・誘導的な手法に訴えた」と認定していたことがわかった。審判所が税務調査の不当性を認めるのは極めて異例という。
関係者によると、同国税局は2010年6月、同社に対し、09年3月期までの5年間で約64億円の申告漏れを指摘。うち16億円はパナマの子会社が経費を水増しするなどしており、悪質な所得隠しと判断した。同社は重加算税を含む約19億円を全額納付したが、処分を不服として、同審判所に審査請求した。
審査の中で、同社側は「国税局職員がどなったり、回答を誘導したりした」などと主張。同審判所は昨年12月の裁決でこれを認め、「怒声を発し、従業員に事実と反する回答をさせ、国税局側の認識に沿うような書面を作成した」などと認めた。また、所得隠しとされた16億円については「鋼材価格が高騰し、契約を見直していた」と同社側の主張を採用し、処分を取り消した。
同国税局は「個別事案はコメントできない。今後は納税者の主張を正確に把握し、適正な課税に努めたい」としている。
◆国税不服審判所 国税局や税務署による課税や差し押さえなどの処分に対し、納得できない納税者が処分の取り消しなどを求めた時、その妥当性を審理する国税庁の機関。審判官は双方の主張を聞くなど調査し、裁決する。東京の本部のほか、全国に12の支部と7支所が設けられている。
(2012年9月8日 読売新聞)
大阪国税局が威圧調査 不当性認め所得隠し指摘取り消し
2012年9月7日
大阪国税局が海運大手の川崎汽船(神戸市)に約16億円の所得隠しを指摘した税務調査で、大阪国税不服審判所が、国税職員の聞き取りに「威圧や誘導」があったと判断していたことがわかった。見立てに沿うよう同社従業員らに回答させた国税局の調査は根拠がないとして、約16億円全額を取り消し、確定した。国税局の調査の不当性が、国の機関である審判所から指摘されるのは極めて異例だ。
国税局は2010年6月、同社に対し、09年3月期までの5年間で約64億円の申告漏れを指摘した。このうち、パナマの子会社が日本の造船会社から船舶を買った際、「鋼材価格が高騰したため、契約を見直して上乗せした」として払った約16億円を、悪質な所得隠しと認定した。契約を見直した事実はなく、経費の水増しとの判断だった。
同社はこれを不服として審判所に審査請求。国税局の担当職員が川崎汽船や造船会社の従業員らを調べた際、「(従業員らと合意した事実関係を記す)確認書を作る時、威圧的に言われ、国税局の主張に沿う内容の確認書に押印した」「『そのまま書いて』と、国税職員が作った文案のまま確認書に署名するよう誘導された」「『この回答は違う』『この会社は法人の体をなしていない』と怒鳴られた」などと訴えた。
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